『気持ち悪さ』の正体
『俺って気持ち悪いんだよね』
いきなり男は語り出した。
『何が気持ち悪いって、自分の中に色んな感情や考えがうごめいて
いるんだけどさ、それが絵の具を混ぜたみたいに変なグラデーションや
ドス黒さを醸し出してそれがなんとも気持ち悪い。』
『狂気』とか言いながらそれが認められたり『承認』されたりすることを
願う気持ち、世界平和とかのたまいながらそれがただのエゴだったという気持ち
建前だけで生きてきた人間の浅ましさがここに凝縮しているような
そんな思いに駆られた。
自己否定とそれに対する怒り。
常に右方左方から相反する思いの波が
上書きを重ねる。
それで結局どうなるかって?
どうにもならないわけさ、
全く救われないよね。